フリーランスの社会保険はどうしたら良い?フリーランスの保険の種類
2021.01.20

サラリーマンからフリーランスになると、さまざまな変化が起こります。
例えば、サラリーマンが加入している社会保険にフリーランスは加入できませんし、これまでのように給与天引きで自動的に保険料が支払われることもありません。
そのため「フリーランスになったら、社会保険はどうなるのだろう? 」と感じている方も多いでしょう。
そこで、この記事ではフリーランスの加入する保険の種類について解説していきます。
また、将来的な収入の見通しを立てにくいフリーランスが、加入しておくと安心な保険についてもご紹介いたしますので、是非ご覧ください。
サラリーマンとフリーランスで異なる保険の種類

企業に雇用されているサラリーマンとフリーランスでは、加入できる保険が異なります。
では、どのような違いがあるのか、フリーランスの入れる保険はどういった種類があるのかを見ていきましょう。
サラリーマンなどの被雇用者が加入する保険

雇われて給料をもらっているサラリーマンやアルバイトなどは、社会保険へ加入しています。
社会保険とは、健康保険・介護保険・年金保険・雇用保険・労災保険の5つの総称です。
健康保険(一般被用者保険)
健康保険は、医療機関受診時や出産などをされた場合、医療費負担の軽減および給付を受けられます。保険料:雇用者と折半
介護保険
高齢などにより介護が必要な人が介護サービスを受けられるよう、費用をサポートする保険です。保険料:雇用主と折半(原則40歳になると支払い義務が生じます)
厚生年金
厚生年金は、将来国民年金(基礎年金)に上乗せして給付される保険です。サラリーマンは「国民年金+厚生年金」の保険料を納めることになりますが、国民年金のみのフリーランスよりも、将来受け取る年金額は高くなります。
保険料:雇用者と折半
雇用保険(失業保険)
失業した際や育児休暇中に給付を受けられる保険で、フリーランスは加入できません。また、失業保険の給付を受けながらフリーランスとして働くこともできないため、注意が必要です。
保険料:雇用主が多めに負担
災害保障保険(労災保険)
業務中や通勤中にケガ・病気・死亡してしまった場合、給付を受けられる保険です。労災保険は企業などに雇われた人が対象となるため、基本的にフリーランスは労災保険の加入対象外です。
ただし、2020年6月に政府が労災加入対象者拡大の方針を示したため、今後労災保険に加入できるフリーランスは増えるでしょう。
保険料:全額雇用主が負担
個人事業主やフリーランスなど、事業主が加入する保険
つづいて、事業所得などが主な収入源となる個人事業主やフリーランスの加入する保険について見ていきましょう。
国民健康保険(義務)
日本は国民皆保険制度なので、フリーランスであっても公的医療保険に加入しなくてはなりません。国民健康保険は市区町村が運営する公的な医療保険制度で、サラリーマン以外の人は基本的に国民健康保険へ加入します。
退職してフリーランスになる場合、退職日翌日から14日以内にお住いの市区町村にて、切り替え手続き行う必要があります。
保険証がない状態で医療機関を受診すると、医療費を全額自己負担することになるため、なるべく早く手続きを行いましょう。
また、市区町村ごとに所得水準が設定されているため、同じ年収であっても地域によって支払う保険料は異なります。
保険料:全額自己負担
介護保険(義務)
介護保険はサラリーマン、フリーランスにかかわらず、40歳以上になったら保険金の支払い義務が生じます。特に手続きは必要ありません。
保険料:全額自己負担
健康保険の任意継続(任意)
退職後、前職の健康保険に引き続き加入できる保険制度です。健康保険任意継続は、
- 退職日までに2ヶ月以上の被保険者期間があること
- 退職日から20日以内に手続きすること
※健康保険組合によって条件が異なることもあるため、事前に確認しましょう。
保険料:全額自己負担
一定の要件を満たせば1人分の保険料で扶養家族分の保険も適用されるため、保険料の負担を軽減できる可能性があります。
国民年金(義務)
国民年金は、20歳以上60歳未満の人すべてに加入義務のある年金制度です。国民年金には、
- 第1号被保険者……フリーランスや学生など
- 第2号被保険者……厚生年金に加入しているサラリーマン
- 第3号被保険者……第2号被保険者に扶養されている配偶者
退職してフリーランスになる場合、退職日翌日から14日以内に手続き行う必要があるため、国民健康保険と一緒に手続きしましょう。
保険料:全額自己負担
保険料はその年ごとに変わりますが、所得や年齢にかかわらず一律です。
付加年金(任意)
付加年金は、毎月の国民年金保険料に400円上乗せして支払うことで、年金額を増やせる制度です。年金受給が始まると「200円×納付月額」が毎年加算される仕組みになっています。
例えば、20歳から60歳まで40年間付加保険料を納めていた場合、
支払保険料総額:400円×480月=192,000円
毎年の受給額:200円×480月=96,000円
となり、2年間受給すると受給額が総支払額を上回ります。
非常にお得な制度なので、将来受け取る年金を増やしたいフリーランスにおすすめです。
付加年金には、
- 国民年金第1号被保険者
- 65歳未満の任意加入被保険者
国民年金基金(任意)
付加年金同様、国民年金に上乗せして加入できる公的年金制度で、将来受給できる年金額を増やすことができます。あらかじめ年金額が確定しているため、運用状況や経済情勢によって将来受け取る年金額が変動することはありません。
掛金月額は、給付の型や加入口数、加入時の年齢、性別によって決まり、月額上限は個人型確定拠出年金iDeCoと合わせて68,000円です。
途中で掛金額を変更することも可能なため、収入に合わせて無理なく支払うことができます。
また、国民年金基金の掛金は、全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽減することができます。
国民年金基金は第1号被保険者を対象としていますが、
- 国民年金の保険料を免除(一部免除・学生納付特例・若年者納付猶予を含む)している方
- 農業者年金の被保険者
は加入できません。
また、付加年金と同時加入することもできないため、注意が必要です。
フリーランスが将来に備えるには
フリーランスは、労災保険や失業保険に加入できないため、いざというとき、サラリーマンのような手厚いサポート受けることができません。
ここでは、フリーランスがリスクや将来に備えるための保険についてご紹介いたします。
民間の保険に加入する
公的な保険だけでなく、民間の保険にも加入しておくことで、金銭的なリスクを低減することができます。フリーランス協会保険
フリーランスの事業や生活をサポートする保険で、- 賠償責任保険
- 所得補償制度
- 弁護士保険制度(報酬トラブル対応)
フリーランス協会へ年会費1万円を支払えば「賠償責任保険」や「WELBOX(福利厚生サービス)」をいつでも利用することができます。
【賠償責任保険(自動付帯)】
業務遂行中のさまざまなトラブルに対する損害賠償が補償されます。
例)
- 業務遂行中の対物・対人の事故
- 情報漏えい
- 納品物の瑕疵
- 著作権侵害
- 納期遅延 など
オプションのため、利用するには別途保険料を支払う必要がありますが、ケガや病気で働けなくなった際、最長で1年間保険金を受け取ることができます。
働けなくなると即収入がゼロになる可能性のあるフリーランスにとっては、ありがたい保険ですね。
【弁護士保険制度(オプション)】
弁護士保険制度もオプションのため、利用するには保険料を支払う必要があります。
フリーランスにありがちな「報酬の未払い」や「約束の報酬額が支払われない」などのトラブルに対応する弁護士費用を負担してくれます。
また、トラブル予防や発生についてのアドバイスを受けることも可能です。
収入保障保険
収入保障保険とは、被保険者が死亡・高度障害状態になった場合、残された家族または自分の生活を保障するための保険です。被保険者に万が一のことが起きた場合、保険期間満了まで毎月保険金が支払われるため、その保険金を生活費に充てることができます。
【保険期間】
保険期間を年数で定める「年満了(10年、20年までなど)」と、年齢で定める「歳満了(60歳、65歳までなど)」があり、契約時に自分で保険期間を決定します。
【保険料】
保険加入時の年齢によって支払保険料が決定し、払込期間中の保険料は一定です。
収入保障保険は、給付開始が遅くなるほど保険金の受取金額は減っていくため、通常の定期保険よりも保険料が安く設定されています。
【保険金の支給方法】
収入保障保険の保険金支給方法は、給料のように毎月支払われる「年金形式」または「一時金」として、一括で受け取るよう設定することができます。
ただし、死亡保険金の受け取り方や契約形態によって、税金の種類が変わるため注意が必要です。
養老保険
養老保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態になったときに、保険金が支払われる保険です。また、何事もなく満期を迎えた場合、死亡保険金と同額の満期保険金が支払われるため、資産形成も行えます。
【保険期間】
収入保障保険同様、年満了と歳満了があり、契約時に自分で保険期間を決定します。
貯蓄性が高いため「10年後の子どもの教育資金」「30年後の老後資金」など、将来を見据えて計画的に備えることができます。
【保険料】
養老保険の保険料は高めに設定されていますが、支払った保険料よりも満期保険金額のほうが上回ることが多いです。
払込方法は、契約時に全額支払う「一括」と、月払い・年払いなど定期的に支払う「分割」があります。
会社登記して代表になる
法人化した場合、本人はもちろんのこと、要件を満たす従業員もすべて社会保険(健康保険や厚生年金)へ加入させなくてはなりません。そのため、フリーランスや自営業者よりも、将来受け取れる年金額を増やすことができます。
ただし、社会保険料は被保険者本人と事業主との折半となるため、それなりに費用はかさみます。
社長一人であっても社会保険への加入義務は生じますが、自分に支払う給与がゼロまたは、保険料を下回る場合、社会保険への加入を断られることもあります。
十分に給与を支払えるようになるまでの間は、国民年金や国民健康保険へ加入してください。
保険の種類を把握して将来に備える
サラリーマンとフリーランスでは、加入できる保険が異なります。
フリーランスに加入義務があるのは「国民健康保険」「介護保険」「国民年金」の3種類です。
また、フリーランスが任意で加入できるのは「健康保険の任意継続」「付加年金」「国民年金基金」です。
公的な保険に加入していれば、ある程度のリスクを回避することは可能ですが、それだけでは不十分です。
民間の保険には、フリーランスに必要な補償が付帯された保険や、貯蓄性の高い保険などもあるため、公的保険に加えて民間の保険にも加入しておくと安心です。
フリーランスは、サラリーマンのような手厚いサポートがないからこそ、しっかりと準備をしておきたいものですね。
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