フリーランス行政書士の年収は?年収1000万も可能?
2021.04.07

フリーランス行政書士は、年収3,000万円超を稼ぐ人もいる一方、年収200万円程度の低所得層も少なくないのが現状です。
そのため、一般的に言われている「行政書士の平均年収600万円」という数字は当てになりません。
行政書士は、働き方や請け負う業務によって年収が大きく変わります。
そこでこの記事では、サラリーマンとフリーランスでの年収の違いや、業務内容による報酬の違い、フリーランス行政書士が年収をアップさせる方法についてご紹介していきます。
フリーランス行政書士の年収はサラリーマン行政書士と比べて高い?

行政書士の年収は、フリーランスとサラリーマンでどのくらい違うのでしょうか。
サラリーマン行政書士の平均年収は401万円
求人ボックスによると、正社員の行政書士の平均年収は401万円です。ただし、給料分布を見てみると334万円~392万円のボリュームが多くなっていることから、日本の平均年収(約460万円)よりも低めの水準であることがわかります。
これは、行政書士は独立開業が基本のため、行政書士事務所に就職を希望する人は「未経験者が多い」ことが要因でしょう。
行政書士の肩書きを持っていても、仕事の流れや顧客とのやり取り、営業の仕方など、実務経験がないとわからないことも多いですからね。
行政書士は膨大な数の書類を取り扱えますが、一般的な行政書士事務所は「遺言・相続」「不動産関係」「外国人のビザ関連」など、特定の業務に絞って経営しています。
そのため、行政書士事務所に勤務する場合は、自分の希望する業務を取り扱っている事務所を探すことが重要です。
また、行政書士が企業内で士業を行うことは禁じられているため、一般企業で行政書士の資格が直接的に役立つことは、ほぼありません。
※企業勤めの場合でも、副業として行政書士業を行うことは可能です。
フリーランス行政書士の平均年収は千差万別
フリーランス行政書士の場合「案件単価×案件獲得数-経費」が収入となるため、非常に個人差が大きいです。年間売上高 | 割合(%) |
---|---|
500万円未満 | 78.7% |
1,000万円未満 | 11.3% |
2,000万円未満 | 5.3% |
3,000万円未満 | 1.8% |
4,000万円未満 | 0.8% |
5,000万円未満 | 0.5% |
1億円未満 | 0.8% |
1億円以上 | 0.3% |
日本行政書士会の行った年間売上高のアンケート結果を見てみると、500万円未満が約8割を占めています。
ここから事務所の家賃など経費を差し引いた金額が手取りとなるため、実際の年収はさらに低いです。
一方、売上1,000万円超の行政書士も全体の10%程度存在していることから、収入格差が激しいことがわかりますね。
ただし、このアンケートには副業や実働していない会員も含まれています。
そのため、行政書士としてバリバリ働いている人だけで考えれば、1,000万円以上稼ぐ割合はもう少し多くなるでしょう。
仕事の内容次第でフリーランス行政書士の年収もアップ

行政書士には、
- 相談業務
- 契約書の作成業務
- 官公庁へ提出する書類の作成・提出代行
そのため、年収をアップさせるには高収入な案件を受けることが重要です。
相談業務
行政書士の相談業務の対象となるのは「行政書士が作成できる書類に関する相談」であり、他の法律で制限されている業務に関しては、相談を受けることができません。また、行政書士は一部の法律事務を扱うことを認められていますが、弁護士と比べるとその範囲は極めて狭いため、基本的に法律相談は弁護士が行うことになります。
【相談業務例】
OK⇒薬局開設や外国人のビザ申請に関する相談、相続全般の一般的な説明
NG⇒遺産分割協議書の内容を決める相談(どういう内容で作成するかは、法律相談に該当)
契約書等の作成業務
土地・建物等の賃貸借や遺産の相続、金銭の消費賃借など、権利義務を明らかにしたり、事実関係を証明したりする書類(契約書・協議書・示談書etc)の作成です。業務ごとに報酬額が変わるため「どの業務を請け負うか」によって、収入に大きな差が出ます。
日本行政書士会が公表している報酬額の統計で、平均単価の高い契約書等の作成業務は下記の通りです。
【平均単価】
- 知的資産経営報告書作成:239,200円
- 事業承継計画書の作成:202,000円
- 経営革新計画書作成:200,927円
- 遺留分特例に基づく合意書の作成:173,667円
官公署提出書類作成代行・提出代行
開業や法人設立、入館・国籍に関する手続きなど、官公署の許認可をもらうための書類作成や、提出の代行を行います。日本行政書士会公表の報酬額の統計で、平均単価の高い官公署提出書類は下記の通りです。
【平均単価】
- 社会福祉法人設立認可申請:678,342円
- 産業廃棄物処理業許可申請<最終処分>: 651,429円
- 産業廃棄物処理業許可申請<中間処理(焼却、破砕等)>:429,077円
- 薬局開設許可:249,886円
- 帰化許可申請<個人事業主及び法人役員>:229,123円
- 帰化許可申請<被雇用者>:187,235円
- 帰化許可申請<簡易帰化>:182,784円
数千円~数百万円まで報酬額に差はありますが、ご紹介した書類作成業務は比較的単価の高い案件なので、こうした高単価の案件を中心に請け負うと高収入になりやすいです。
「難関資格」との兼業でフリーランス行政書士の年収アップ
稼いでいる行政書士は、税理士や社会保険労務士といった難関資格との兼業をしているケースが多いです。
複数の士業と兼業すると取り扱える業務の幅が増えるので、自然と年収がアップしますよ。
司法書士との兼業
司法書士は、裁判所や法務局へ提出する書類の作成や手続きを代行する仕事です。例えば、法人設立時には定款の作成や各種許認可、商業登記を行わなくてはなりませんが、「商業登記」は司法書士の業務範囲となるため、行政書士は取り扱えません。
このように、行政手続きに関する業務範囲は明確に決められているため、司法書士のライセンスも取得しておけば、広範囲の業務をカバーすることができます。
収入アップに繋がるため、司法書士と兼業している行政書士も多いです。
司法書士の平均年収:444万円(正社員)
社労士との兼業
社労士(社会保険労務士)は、雇用や労働に関する問題を取り扱う仕事です。労働保険や社会保険に関する手続きをはじめとして、就業規則の作成・見直し、従業員とのトラブル発生時のサポートなど、多岐に渡ります。
先述の通り、行政書士は法人設立時に必要な定款の作成などを行うため、社労士資格も有しておけば引き続きその企業の社労士として、多様な業務を請け負えますよ。
社労士との兼業は大幅な収入アップも可能なため、社労士資格を保有している行政書士は多いです。
社労士の平均年収:425万円(正社員)
税理士との兼業
税理士は、税務書類の作成や確定申告などの税務代行といった、税金まわりの業務を行う仕事です。また、財務書類の作成や会計帳簿の記帳代行なども行うため、税理士とのダブルライセンスになれば、営業許可申請や会社設立時の定款作成だけでなく、会計業務も行えます。
継続的な案件獲得のチャンスに繋がるため、税理士の仕事獲得の窓口として行政書士を営んでいる人も多いです。
税理士の平均年収:477万円
その他の兼業
不動産や離婚カウンセラーなどと兼業している行政書士も多いです。というのも、行政書士は遺産分割協議書や離婚協議書といった書類を作成するため、こういった業界の仕事と兼業していれば、ビジネスチャンスが格段に広まります。
例えば、「相続手続きのついでに不動産も預かり、元付業者になる」「離婚カウンセリングも行って相談料を得る」ことも可能です。
行政書士がアドバイスすることで、裁判までいかずに話し合いで解決できることもありますし、弁護士よりも相談料が安いこともあり、ニーズは絶えません。
このように、不動産や離婚の分野と行政書士の業務は親和性が高いため、これらの仕事と兼業して収入をアップさせている人も多いです。
年収アップを狙うかどうかも本人の考え方次第
年間売上500万円未満の人が約8割を占めており「稼げないのでは」と心配される方も多いですが、あまり悲観的になる必要はありません。
日本行政書士会連合会の調査では、資格取得者の5割以上が60歳以上であることが判明しており、副業で働いている人や登録だけしている人も一定数存在します。
そのため、行政書士としてバリバリ働いている人だけで考えれば、1,000万円以上稼ぐ高所得者の割合は必然的に多くなるのです。
また、60歳以上の行政書士が多いことからも明らかなように、行政書士は生涯現役で働けます。
年収アップを狙ってバリバリ仕事をするのも、副業や家事の合間、定年後の趣味としてマイペースに働くのも働き方は人それぞれ。
自分の目標やライフスタイルに合わせて働きましょう。
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