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関屋利治さん(プリン屋・国際プリン協会認定プリンシパル第一号)直撃インタビュー

2021.03.27

国際プリン協会認定プリンシパルの第一号となり、2020年2月という時期にプリン屋をオープンした、関屋利治さん。無添加でより自然に近い、こだわった素材で作られた、心にも体にも優しいプリンを販売しています。
「今が楽しく幸せ」だと語る関屋さん。プリンにかける思いや、コロナと同時期の店舗オープンを乗り越えた秘訣を関屋さんご本人に語っていただきました!

お名前:関屋利治
職業:プリン屋、損保営業
店舗名:プリン屋ほほえみキッチン
店舗所在地:世田谷区砧6-27-19

プリン屋ほほえみキッチンHP
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認定プリンシパル第一号になったのをきっかけにプリンに魅せられる

オープンされて間もないんですね。コロナで大変ではなかったですか。


オープンしたのは2020年の2月7日でした。まさにコロナの自粛が始まった時期でしたが、前年との比較ができないから、コロナのせいでお客さんが来ないのかそうじゃないのかがわからないんです。でも初期のころは特に、お客さんが少ないのには結構苦戦しましたね。そこで自転車での移動販売も始め、駅前などで販売するようになりました。オープンして1年ですが、おかげでじわじわお客さんが増えてきています。

店名は「プリン屋」なんですね。


「プリン屋」だよっていうのを打ち出したかったんです。プリン専門だよって。でもそれだけじゃ不便でもあるので場所の名称をつけ足して「プリン屋ほほえみキッチン」と名乗っています。

なぜプリンなのですか。


6~7年前に「国際プリン協会」が発足したのですが、その会長とSNSでつながっていたんです。それで発足のニュースをFACEBOOKのタイムラインで見つけて。「ある日プリンが仕事になりました」っていうタイトルを読んで「なんだこれ」と思って、ウェブサイトを見に行ったんですよね。まさに立ち上げの瞬間を目撃した形になりました。

そうしたら、そこに「プリン検定」が用意されていて面白そうだと思いやってみた。発足後すぐHPを見つけたため、僕がプリン検定の「認定プリンシパル」の第一号になったんです。

会長が知り合いだったこともあって、それを機に、国際プリン協会の会合に呼ばれるようになりました。そうやっておもしろがっているうちに、せっかく認定プリンシパル第一号になってしまったのだから、プリンも作ってみようと思って作ったのが最初です。始めは趣味で作り始めて、その頃はそんなに仕事にしようという強い思いがあったわけではありませんでした。

プリン屋を始めようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。


なんとなく「プリン屋さんやってもいいかな」と、土日にイベントで販売するようになったんです。仕事は損保の営業をしていたのですが、あまり忙しくなかったので時間はありました。

そうしたら皆さんに「おいしい」「これ売れるんじゃない」って言ってもらえた。ほめるときに「売れる」っていうのは、最高の誉め言葉だとおもいました。「チャンスがあればやってみたいな」と思っていたそんなとき、前にパン屋さんが入っていた手ごろな物件が空いたんです。

「プリン専門」で、無添加素材にこだわったメニュー開発

生クリームが自然に浮かんでくる製法で、より搾りたての牛乳に近い味わいに

趣味で始めたにしては、ずいぶんこだわった素材ですね。


らでぃっしゅぼーやという無農薬や無添加食品の宅配をやっている会社の畜産部にいたことがあるので、素材の知識はありました。ですから、一つ一つの素材にはこだわっています。

まず牛乳はノンホモパスチャライズ牛乳。低温殺菌で脂肪を分解しないので自然にクリーム層が浮かんでくる。より搾りたての牛乳に近い味を楽しめるんです。生クリームは入れていないのに、この牛乳を使うことで自然とクリームが浮いてくるんですよ。この層があることによって、バニラビーンズが一か所に固まらず、均等に味と香りが広がります。

卵は平飼いのものを使用。普通の鶏は暗いケージに押し込められて、卵を産むためだけにエサだけもらって育てられているのですが、鶏にとっては大変なストレスです。ケージ飼いでは鶏が病気になりやすいことから、抗生物質を投与されながら卵を産み続けていることも珍しくありません。このようなケージ飼いは、動物保護の観点から、EU諸国ではすでに廃止されています。

それに対し平飼いの鶏は地面で育てられ自由に運動しています。心身ともに健康な鶏から生まれた卵ですから、赤ちゃんから高齢者まで安心して召し上がっていただけますよ。

今後はメニューも増えるんですか?


基本的にプリン専門店の線は変えないつもりです。バラエティーはすでに用意していて、暖かいプリンや、リング型の大きいプリンなどもお出しています。リング型プリンは大きくてインパクトがあるので、みんなで食べるときには盛り上がりますよ。それからプレーンなプリンのほかに、かぼちゃプリンもあります。

なぜかぼちゃに注目されたのですか。


福島のかぼちゃ農家さんと知り合いなので直送で仕入れができるんですよ。その方は元々飯舘村でいいたて雪っ娘というかぼちゃを作って広めていらっしゃいました。バランスがよくて品がいいかぼちゃです。ところが原発の影響で移住を余儀なくされた。その後避難生活になってからも別の場所でいいたて雪っ娘を作り続けていらっしゃるんです。それを見て、復興支援の意味合いも込めてそのかぼちゃを使ってプリンを作ろうと思いたちました。そこから直で仕入れています。

※福島ではほとんどの地域で避難指示が解除されたものの、住民の帰還が進んでいない地域も多い。飯舘村の住民帰還率は2020年時点で27%。高齢者の割合はそのうち50%以上を占めている。
参考:WEB特集 原発事故9年 住民の帰還はどこまで進んでいるのか? | NHKニュース

独立して社会保険労務士になるはずがプリン屋に

独立しようと決断したのはいつだったのですか


保険の営業も事業主としてやっていたので、「勤め人ではなくなった」のはプリン屋を始めるずっと前のことです。

元々は社会保険労務士になるつもりで、試験も受けました。ところが、社労士の合格発表の前に損保の代理店の入社が決まった。合格発表後、社労士として独立しようかと思ったんですが、妻に猛反対されて。「それお金入るの?」って言われて「始めはお客さんいないからお金入らないよ、1年2年は我慢だよ。」って言ったら「だめ、そんなの」って。

それで将来保険の代理店として独立を目指せる「独立コース」で入社し、そこで5年サラリーマンとして働きました。当時は「将来社会保険労務士になるときに役に立つ仕事をしておこう」という思いもありましたね。結構厳しくてなかなか独立できなかったのですが、営業の数字が基準まで行ったので独立しました。

社員はいない一人会社として会社登記もしてしばらく保険の代理店業を営んでいました。ところが、手数料率が規模が大きい会社のほうが有利という仕組みになってきて、小さい代理店では不利になった。それで他の代理店とくっついて、そこの社員という形になりました。

会社規模を大きくするために集まったメンバーなので、時間は拘束されません。もともと週三日行けば大丈夫だったのですが、今は週二日だけ保険の営業をやっています。選んでというわけではなく結果的にそうなりました。

社会保険労務士はいつでも開業できる状態だったのですが、結局開業しませんでしたね。

週二日という働き方が可能なんですか!何の営業なのでしょうか。


保険では法人営業をやっていて、貿易の時に品物にかける保険、貨物海上保険をメインで取り扱っています。契約をいただくのは大変ですが、お客様も増え、営業のために毎日忙しく往復することもなくなりました。おかげでプリン屋を始める時間的余裕も持てましたし、保険からの収入もあるので、コロナでも焦らず落ち着いてプリン屋をスタートすることができました。また、コミュニティスペースである笑恵館を利用して開業したことで、固定費を少なく済ませることができたのも大きいですね。

固定費を抑えられるのは嬉しいですね。どうやってこの場所を見つけたのでしょうか。


当時私は荻窪家族っていうコミュニティスペースのオーナーさんと知り合いで応援していたんです。するとたまたま同じようなコンセプトで祖師谷でコミュニティスペースの立ち上げを考えている人がいるというのをfacebookで知りました。アパート付きの母屋を改築したりリフォームしてコミュニティの核になるような場所にしようというのがそっくりで。それでオープン前から笑恵館のことを知ることになり、キッチンが併設されることも知っていました。

プリンは、砂糖と牛乳と卵だけでできる「奇跡のスイーツ」

プライベートでも料理にはこだわりますか。


プライベートで料理するよりも作って他の方にふるまうのが好きですね。

荻窪家族のほうでも、みんなが集まった場で僕が料理するという役割を担っていることもありました。ほかにもミュージカル女優さんがバーで歌うときにおつまみセットをおだしするなど、不定期でイベントで料理する仕事をしていました。それが今につながっています。

作るとみんながすごくおいしいって言ってくれるんです。カキのオイル漬けとかラタトゥイユなどですが、ときどきはまるものができるみたいです。

料理が「できる」方って始めからレシピを見ませんよね。


はい、ざっくりわかっていればあとは適当にアレンジします。
僕は逆に絵は全然描けないんですよ。「絵が描けない」ってどういうことかというと、「どの色とどの色を混ぜたらこうなる」とか、「立体感出すためにはどうする」というのがそもそもイメージできない。絵心がないってこういうことかと自分でも思います。鍛えてもどうしようもないところですよね。

けれども料理だと、この調味料を入れて、このスパイスを入れたらこうなるんじゃないかっていうのがなんとなく想像できます。

プリン屋のやりがいはどんなことですか。


おいしいって言ってもらえることはうれしいし、お客さんとのやり取りも楽しいです。立ち売りで買ってくれる人も、買ったほうが「ありがとうございます」って言ってくれるようないい人が多いんです。駅前などで販売していると、色々なドラマがあります。

つい昨日も初めて買われた方とお話ししたんですが「初めてならポイントカード作りましょうか」と言うと、「いいです、明日引っ越しなので、最後の記念に買いました」とおっしゃって。ずっと販売しているのを見てくれていたことや、自分のプリンが最後の記念になれたことが嬉しかった。なかなか面白いなと思います。

仕事をやっていてお客さんに感謝されるっていうのはそんなに多くないですから、幸せなことです。

フリーランスのメリットとデメリットとは?


安定性に欠けるっていうデメリットはありますね。でも会社員に戻ろうとは思いません。自分の裁量でできて、気楽なところを味わうと、なかなか勤め人に戻りたいとは思えないのではないでしょうか。今はプリン屋も開くことができ「楽しい」っていう意味では本当に楽しいです。

自分の仕事の成果やお客さんの顔がよく見えるというのはフリーランスの一番面白いところじゃないかなと思います。そこの喜びを忘れずにいれば頑張っていけるのではないでしょうか。

今後の目標はどんなことですか?


特に大きな目標っていうのはなくて、ここで幸せにやっていきたい。それが目標と言えば目標ですね。

では読者に最後に一言!


プリンって卵と牛乳と砂糖だけでできてしまう、すごい食べ物だと思います。カラメルも砂糖を焦がしてできますから。3つの素材だけで甘さも苦みも出してしまう、奇跡のスイーツだと思っています。
お近くにお立ち寄りの際はぜひ、食べていってください!