能登学さん(システム開発会社代表)に聞く! 働き方を変えた方法と、成功するシステム発注の秘訣
2021.08.26

フリースタイルマガジンの開発をお願いしたシステム開発会社の代表である、能登 学さん。
新卒で就職したときは将来システム会社を作ることになるとはまったく思っていなかったそうです。
会社勤めでは執行役員まで昇進された能登さんが33歳で働き方を大きく変えた背景とその方法とは?
そしてシステムを発注するときには、どういうことに気を付けたらいいのでしょうか?
一緒にお仕事をさせていただいたディレクターから能登さんに、直接お話をうかがいました!
能登学さんの詳しいプロフィールを見る
「やらされ」仕事だったプログラミングが「すごく意味のある仕事」に

インタビューに当たり、ご経歴を拝見したのですが意外と長く会社勤めをされていたのですね。
初めから独立を目指してSEになられたのですか?
ではプログラミングとの出会いはなんだったんでしょうか。
大学時代はファイナンスを専攻しており、「『ファイナンス×何か』で強みをつければ生き残っていけるかな」という考えのもと就職活動を行い、結果的に入社したのがニッセイ情報テクノロジーという金融系のシステム会社でした。
システム会社に入ったことは自分の意志でしたが、そこで自分がプログラミングをやることになるとは想像していませんでした。(今思えばそれもおかしな話ですが)
ところが、配属された部門がゴリゴリにシステムを作るチームだったため、新卒の自分には当然の如くプログラミングが最初の課題としてふられ、急遽C言語を学び始めました。
やってみると面白かったんですか。
当然サポートしてくださる先輩もいましたが、基本的には自分で本を買って、本に書いてある通りに書いてみて「こういうふうに書くとこう動くんだ」という形で体で覚えていきました。
おかげで土日もつぶれてしまい、当時は「なんでこんなことしなきゃいけないんだ」とウダウダ思っていました。でも、それができるようにならないと仕事にならないですし、できないのが悔しかったので、仕事が終わった後も自宅でプログラムを書いて、なんとなくわかるようになって、という日々でした。
システムにやりがいを感じ始めたきっかけは何かあったんですか。
入社したのは当時30人くらいのベンチャー企業でした。一社目と違いゴリゴリの営業会社です。
新卒で入社した会社は1,500人くらいの会社だったので、なんでもあるのが当たり前でした。ところがベンチャーには本当に何もない。たとえば営業マン同士の情報共有ができていなくて営業バッティングが頻発するなど、いろいろカオスでしたね(笑)。
そんな背景もあり、営業志望で入社した会社だったにも関わらず「ちょっとシステム作ってくれない?」という依頼を断りきれず、SFA(営業支援システム)の簡易版のようなものを作りました。
前職ではあって当然のようなものでしたが、何もない環境でシステムを稼働させると業務が劇的に変わって会社の仲間も本当に喜んでくれ、「システム開発って実はすごく意味のある仕事なのでは?」とこのとき初めて実感しました。
システム会社を作りたいという気持ちも芽生えたのはその頃ですか。
前述した社内向けのシステムが当時の代表に評価され、ベンチャー企業向けのSFAを開発・販売する事業部を立ち上げることになり、そこそこ売ることができました。
企画/開発したシステムを多くの企業様に導入いただけたことで、ベンチャー・中小企業界隈のシステムニーズ、社会性とともに自身の適性を実感しました。「これだったら独立してもやっていけるかもしれない」と。
営業スキルを身に着けるために転職したということですが、やってみてどうでしたか。
ですが今では開発より営業のほうが好きですよ。システムの営業って、「顧客の課題をどういうシステムをどのくらいのコストで作って解決していくか?」その構想の良し悪しで決まるので、正に腕の見せ所という感じで、仕事をしていて楽しいです。
独立してからは、自分で判断ができるから結果に納得感がある
起業するというのは、思ったより大変でしたか。
ですが地道に営業していくうちに「能登さん、信頼できそうだからちょっとやってみよう」とチャレンジして下さる企業様が少しずつ増えてきました。
法人営業は信頼を築くのに時間がかかるイメージはありますね。
そういったものが積み重なり、今ではそこそこの打率で受注が取れるようになりましたが、最初はとにかく大変でしたね。
やめたくなったりしませんでしたか。
そう思うくらい、独立してよかったことがあったということでしょうか。
サラリーマンの場合は仮に表面的に「好きにやれ」と言われたとしても、重要な局面になればなるほど決定権がなくなっていくのが普通なので、そこでモヤモヤすることも多かったですが、起業してからは自分で決定することができるんです。
自分が決めたことは成功しても失敗しても十分な納得感を得ることができる。それは私にとってはすごく重要なことですね。
システム発注会社選びは「付き合う相手を選ぶ」気持ちで!?
お仕事する際に心がけていることってどんなことでしょうか。
システム開発って、依頼側も受注側も作ることが目的になってしまい、プロジェクトが進むにつれてコストとクオリティのバランスが崩壊して、最終的にシステム自体はできたけれども課題解決に繋がらなかったというケースは多いんです。
依頼サイド発でよくあるのは、「あれもこれも」と、本来の課題解決に結びつかないような機能を追加してしまうことで、コストや納期が膨らんでいくケース。
受注サイド発でよくあるケースはエンジニアの無駄なこだわりで知らぬところで余計な予算が使われていたとかですね。
そんな中で大切なのは、お客様のお話を聞かせていただいた上で真の課題を引き出し、その課題を無理のない予算で解決することです。ヒアリングの際には「私がお客様の立場だったらこの課題を最優先で倒し、こっちはコストと効果のバランスが悪いので後回しにします」といった形で提案させていただいています。
ロマンクルーさんには、価格メリットを感じていらっしゃるお客さんは多いですね。価格の違いはどこから来るのでしょうか。
企業規模が大きくなればなるほど役割が細分化され、「営業、営業系SE、技術系SE、リーダー、PM、SE、プログラマー」といった形でプロジェクトに関わる人員が増え高コストになっていきます。
私は上のようなことを新卒の会社で見ていて疑問に思っていたのと、自分がシステムの提案を受けたときに、担当の方に質問をしても大概「会社に戻って担当に確認します」と返されることの多さにほとほと呆れていたので、自分の会社では絶対こうならないようにしようと思い、結果的に少数精鋭の体制となり、それがコストに反映されています。
安いのはうれしいけど不安になるというのはあるかもしれません。発注する側はどこに気を付ければよいでしょうか。
発注先を選定する際に発注側が準備しておくべきことはありますか。
会社の文化や依頼する人の性格によって、大事にすることって違いますよね。コストが大事な人、納得感が大事な人、スピードが大事な人、スピードよりクオリティ……。そこが合わないと結局うまくいかないですし、プロジェクト自体もストレスフルなものになります。
実績・コスト・技術力というところに目が行きがちだと思うのですが、それだけではうまくいかない。
だから、ちゃんとコミュニケーションを取れる人にお願いすることですかね。あとは相性です。
相性ってあるんですか。
納得いくものを作るためには「この機能に関してはA・B・Cのパターンが考えられますがどうしますか?」っていうコミュニケーションが必要になり、場合によっては半年とか1年とか一緒にやっていくことになる相手なので、「お付き合いする人を見つける」というのと同じ感覚で「この人好き」「この人嫌い」っていう感覚で決めるのもある種正解なんです。
だから「なんかすごそうだけど波長合わないな」って感じるときは、やめたほうがいいと思います。合わない人と、長期間、密にコミュニケーション取るのって辛いと思うので(笑)。
主に中小企業を支えるアイデアを出して喜んでいただきたい
大変なお仕事だと思いますが、今感じているやりがいってどんなことですか。
今進行中の案件の一つに、紙とエクセルで管理しているものをWeb化するというプロジェクトがあるのですが、現場の方から「めちゃくちゃ楽になりました」って言っていただけて。
「紙やエクセルを使った情報管理業務」で浪費されていた時間がもっと意味のあることに使えるような体制になってきているのがこちらにも見て取れ、まさにこういったときに「やっていることに意味があるんだな」と思えます。
私の場合はそもそもディレクターとして入社しているわけですが、システムの担当者がいない企業も多いですよね。
その中でアイデアを出してお客様のためのシステムを作る。
そういう仕事にはこれまでの経験が活かせていると思うので、逆にそういった企業のお手伝いをすることこそが、当社の存在価値なのかなと思っていますね。
今回も、何を作るか決まらない段階から、社内の意見を整理いただくお手伝いもしていただてしまった気がしています。
内容が固まっていなくても、ふわっとした状態でいいので相談いただければ大丈夫ですよ。
今後ロマンクルーさんはどのような方向に向かうのでしょうか。
それができる人材を育成することも、今後の課題なので、こういった仕事に興味がある方からのご連絡も、お待ちしています!
では最後に独立・フリーランスを目指す読者に向けて一言!
「フリーになりました!……食えません」ということにならないためには、まず自分がフリーで売ろうと思っている商品・サービスの営業を実際にしてみて、そのニーズがどれくらいあるのか理解することが大事かなと思います。
最近は、インターネットの情報が増え、フリーになることを煽るような風潮もありますよね。「3か月学んで月収50万円」のように。
でも営業できない限りは誰かから下請けで仕事をもらうしかなく、「買い叩かれてやたら忙しいけど稼ぎが上がらない」ような状態になってしまいます。だから、まずは自分自身で営業をやってみて、自分が望む価格帯で売れるのかテストをしてみるのがよいと思います。
再現性を持って売ることができたら自信にも繋がり、ご家族がいる場合はご家族の安心感に繋がるのではないでしょうか。
フリースタイルマガジンをフォローする
RANKING 人気の記事
CATEGORY カテゴリー