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フリーランスは消費税を請求できる? 預かった消費税は国に収める義務はあるの?

2021.06.25

フリーランスとして働いていると、消費税を上乗せして請求することも多いでしょう。

この消費税、どう取り扱ったらいいのか理解していますか。

自分は課税事業者なのか免税事業者なのか、記帳はどうしたらいいのか、いつどこに消費税を納付すればいいのかなどをしっかりと把握しておきましょう。

免税事業者と課税事業者とは?

インボイス制度を理解するには、まず「免税事業者」と「課税事業者」の違いや、税金の仕組みを理解することが大切です。

免税事業者とは

そもそも、消費税がどのように納税されているかご存じでしょうか。

消費税の納税は、

消費者「商品やサービスの購入・利用時に、代金と合わせて消費税を支払う」 ↓↓ お店「消費税を一時的に預かる」 ↓↓ お店「消費者に代わって、国(税務署)に納税する」


という仕組みになっています。

免税事業者とは、この消費税の納税義務が免除された事業者のことです。

前々年(基準期間)の課税売上高※が1,000万円以下の人が対象となるため、開業して2年目までの事業者には、原則納税義務はありません。

※課税売上高…消費税抜きの売り上げ

ただし、前年の1~6月までの半年間(特定期間)における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、課税事業者となります。

免税事業者の記帳方法

消費税の会計処理方法は、「税込経理方式」と「税抜経理方式」の2通りです。

免税事業者の場合、消費税の納付義務がないため、税込経理方式を採用することになります。

【税込経理方式の仕訳例】
税込11,000円の商品が売れた場合
借方
貸方
勘定科目
金額
勘定科目
金額
現金
11,000
売上
11,000
税込550円の部品を仕入れた場合

借方
貸方
勘定科目
金額
勘定科目
金額
仕入
550
現金
550

このように、税込経理方式は、消費税も含めて総額で仕訳することを言います。

ここで、「免税事業者は消費税を納める必要がないのに、消費税を請求しても問題ないのか?」と疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、問題ありません。

免税事業者が「代金+消費税」を請求して受け取った分(益税)は、収益にすることが認められています。

というのも、免税事業者であっても仕入れや備品を購入する際は、取引先に対して消費税を支払っているからです。

課税事業者とは

課税事業者とは、消費税を納める義務がある事業者のことです。

具体的には、
  1. 前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えている人
  2. 前年の1~6月までの半年間(特定期間)で課税売上高が1,000万円を超えている人
が課税事業者となります。

課税事業者の記帳方法

課税事業者の消費税会計処理は、「税込経理方式」「税抜経理方式」どちらを選択してもOKです。

税込経理方式は、都度消費税の計算をしなくても良いため手間は少ないですが、消費税納付額の見通しを立てづらい、などのデメリットがあります。

会計ソフトを活用すれば、それほど手間もかからないため、税抜経理方式を採用している人が多いです。
【税抜経理方式の仕訳例】
税込11,000円の商品が売れた場合
借方
貸方
勘定科目
金額
勘定科目
金額
現金
11,000
売上
10,000


仮受消費税等
1,000
税込550円の部品を仕入れた場合
借方
貸方
勘定科目
金額
勘定科目
金額
仕入
500
現金
550
仮払消費税等
50
「仮受消費税等」は、預かった消費税のことを指し、支払った消費税のことは「仮払消費税」と言います。

課税事業者はどうやって消費税を国に収める?金額は?

免税事業者と課税事業者の違いが分かりました。
ここでは、納税する消費税の計算方法についてご紹介いたします。

仕入税額の控除とは?

仕入税額控除とは、仕入れにかかった消費税分を納めなくてよい仕組みです。

例えば、A社が事業者Bに商品を発注した場合、事業者BはA社に対して消費税も含めた代金を請求しますよね。

そして、事業者Bもまた、商品の原材料を仕入れるために別のところへ「商品代+消費税」を支払っているはずです。

つまり、前もって支払った消費税を無視してしまうと、課税事業者は二重で消費税を負担することになります。

そのため、「売上時に受け取った消費税-仕入時に支払った消費税」で、税額控除を行っているのです。

ちなみに、仕入税額控除は、
  1. 原材料費
  2. 消耗品
  3. 交通費
  4. 接待費
  5. 光熱費

など、間接的な費用も広く含まれます。

ただし、2023年に導入されるインボイス制度では、現行の消費税制度が大きく変わるため、フリーランスにも影響が出てきます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

納付する金額の計算方法

消費税額の計算方法は、「一般課税」と「簡易課税」の2通りです。
ここでは、それぞれの計算方法について例を用いてご説明していきます。

納付する金額の計算方法

消費税額の計算方法は、「一般課税」と「簡易課税」の2通りです。
ここでは、それぞれの計算方法について例を用いてご説明していきます。
一般課税の計算方法
消費税は、「売上時に受け取った消費税」から「仕入時に支払った消費税」を差し引いて、その差額を申告・納税するのが原則です。

例えば、
  1. 課税売上高10,000円
  2. 課税仕入高6,000円
  3. 消費税10%
の場合、課税売上高の消費税は1,000円、課税仕入高の消費税は600円となります。

これを計算式に当てはめると「1,000円-600円=400円」となり、納めるべき消費税は400円です。

ただし、一般課税の場合、年間通したすべての取引に関する消費税額を算出しなくてはならないため、大変手間がかかります。

そこで、要件を満たした事業者には「簡易課税制度」の利用が認められています。

簡易課税の計算方法
簡易課税は、売上にかかった消費税額に対し、業種ごとに定められている「みなし仕入率」を用いて、仕入れなどにかかった消費税額を計算する方法です。

例えば、
  1. 小売業者(みなし仕入率80%)
  2. 課税売上高10,000円(消費税1,000円)
の場合、「1,000円×0.8=800円」となり、800円は課税仕入高の消費税にかかるだろうとみなされます。

よって、「1,000円-800円=200円」で、納付すべき消費税額は200円です。

【みなし仕入率】
事業区分
みなし仕入率
該当する事業
第一種事業
90%
卸売業
第二種事業
80%
小売業
第三種事業
70%
林業/農業/漁業/鉱業/建設業/製造業など
第四種事業
60%
飲食店業など
第五種事業
50%
運輸通信業/金融・保険業/サービス業(飲食店業除く)
第六種事業
40%
不動産業
簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業主が対象となっており、期日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

なお、一度「簡易課税制度選択届出書」を提出すると、その後2年間は申請を取り下げることができません。

課税事業者が消費税を国に納める方法

ここでは、課税事業者が消費税を納める方法についてご紹介いたします。

消費税を納める時期

個人事業主の消費税の申告・納付期限は、翌年の1月1日~3月31日(土日の場合は、次の月曜日)までです。

しかし、2020年(令和2年)分の申告・納付期限に関しては、2021年(令和3年)4月15日まで延長されました。

今後も、新型コロナウイルス感染症などの影響で変更となる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

消費税の納付方法

消費税の納付方法は様々で、好きな方法を選択することができます。
納付方法を一覧にまとめましたので、それぞれの違いを把握して自分に合う方法で納付しましょう。
【納付方法一覧】
納付手続き
納付方法
特徴
支払い方法
窓口納付
税務署や銀行の窓口で納付する方法
納付時に領収証書が発行される
現金のみ/手数料なし
コンビニ納付
(バーコード)
コンビニのレジで納付する方法
税務署で「バーコード付納付書」を交付してもらう必要がある
現金のみ/手数料なし 利用可能額:30万円以下
コンビニ納付
(QRコード)

国税庁HPからQRコードを作成する必要がある

インターネットバンキング等
インターネットバンキングやATMなどから納付する方法
e-Taxの利用開始手続きを行う必要がある
電子納付/手数料なし
クレジットカード納付
クレジットカード決済で納付する方法
国税庁HPから専用サイトへアクセスし、必要事項を入力する
クレジット決済/手数料あり
利用可能額:1,000万円未満で、利用するカードの決済可能額以下
ダイレクト納付
自分名義の預貯金口座から、即時または指定した日に引落しされる方法
e-Taxの利用開始手続きを行った上で、税務署または利用する金融機関に届出書を提出
もしくは、e-Taxにより届出書を提出する必要がある
口座引落し/手数料なし
振替納税
自分名義の預貯金口座からの口座引落しにより、国税を納付する手
税務署または、金融機関へ依頼書を提出 もしくは、e-Taxにより依頼書を提出する必要がある
口座引落し/手数料なし
確定申告書の提出後、税務署から納付書が送付されたり、納税通知などのお知らせが届いたりすることはないので、必ずご自身で納付してください。
参考:国税庁[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)

売り上げ1,000万円が境目

免税事業者と課税事業者は、課税売上高(消費税抜きの売上)1,000万円がボーダーです。

フリーランス1年目の人が課税事業者になることはまずありませんが、先々のことまでは分かりません。

フリーランスであっても、1,000万円超を稼いでいる人も一定数はいるため、いつ課税事業者になっても対応できるよう、消費税については把握しておきましょう。