店名・芸名・ペンネームで銀行口座を開設するには?フリーランスにおすすめの銀行
2021.08.05

自分のお店の店名や、ペンネーム・芸名で銀行口座を開設したいと思ったことはありませんか。
店名などの屋号つき口座を開設すると、フリーランスや個人事業主にとって重要なポイントである「信頼性」や「会計上の利便性」が高まります。
今では、多くの銀行で屋号つきの口座開設ができますし、意外と手続きも簡単です。
今回は、屋号での銀行口座開設についてご説明します!
屋号・雅号とは

「屋号」「雅号」のついた口座を開設できる銀行が増えてきました。
まずは「屋号」と「雅号」について、理解を深めましょう。
屋号とは
屋号とは、フリーランスや個人事業主が使用する“商業上の名称”です。法人で言うところの“会社名”にあたるもので、「○○商店」「△△デザイン」「☆☆事務所」といった、ビジネス用の名称(=屋号)をつけることができます。
ただし、「○○会社」「○○法人」「○○株式会社」という表現は、法人格を持っている事業者が使う名称なので、フリーランスや個人事業主が用いるのは不適切です。
また、商標登録されている名称を用いるとトラブルに発展する可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
雅号とは
雅号とは、作家や芸術家、芸能関係者などが仕事上で用いる“本名以外の名前”です。「屋号」が法人における会社名であるのに対して、「雅号」は芸名やペンネームといった、特定の個人を指し示す名前のことを言います。
店名・芸名・ペンネームで銀行口座を開設するメリット

では、屋号や雅号のついた銀行口座を開設すると、どういったメリットがあるのでしょうか。
信頼性が増す
屋号つきの銀行口座を開設すると、顧客や取引先へ安心感や信頼感を与えられます。というのも、屋号つきで銀行口座を開設するには、開業届や事業の実態があることを証明する資料(賃貸契約書など)が必要だからです。
顧客や取引先に対して、「実際に事業をしていますよ」と間接的に示すことができるため、個人名義を使うよりも信頼性が増します。
さらに、屋号や雅号があれば、顧客や取引先による振込先の間違いを防ぐことも可能です。
個人用と事業用の口座を区別できる
個人用と事業用の口座を区別できるのが2つ目のメリットです。個人用の口座と別にしておけば、事業上でのお金の出入りを一目で把握できるため、帳簿管理がしやすくなります。
また、税務調査の対象となった場合、事業用の口座があればプライベートの支出を見られずに済みますし、対応する労力も少ないです。
お金の管理を他人と共有しやすい
事業用の口座を開設しておけば、他人にプライベートの預金を見られることはまずありません。そのため、
雇用したスタッフに入出金や記帳を依頼する
税理士に税務申告を依頼する
などの対応がしやすくなり、利便性が高まります。
店名・芸名・ペンネームでの銀行口座を開設する準備

ここでは、屋号つきの銀行口座を開設するのに必要なものをご紹介いたします。
ただし、利用する銀行によって必要書類は異なるため、申し込み前に必ず確認しましょう。
個人事業主の開業届に屋号・雅号を記載する
屋号つきの口座を開設するには、開業届を銀行に提出しなくてはなりません。そのため、あらかじめ「個人事業の開業・廃業等届出書」の「屋号」欄に、屋号または雅号を記入し、所轄の税務署に提出してください。
開業届の屋号欄に「雅号」を記入すれば、芸名やペンネームつきで口座開設することができます。
ちなみに、屋号や雅号の変更に回数制限はないので、必要に応じて変更することが可能です。
事業を営んでいることを示す書類を準備する
銀行は、口座の不正利用を防止する目的で活動実態を確認するため、屋号や雅号の活動を証明する資料が必要です。例えば、
国税や地方税の領収書または納税証明書
社会保険料や公共料金の領収書
店舗や事務所の賃貸契約書
確定申告書
税務署収受印付の確定申告書
ホームページのプリントアウト※
などが挙げられます。
銀行によっても異なりますが、屋号の確認資料は、原本(賃貸契約書を除く)を求められることが多いです。
※ホームページのプリントアウトに関しては、一部銀行に限ります。
その場合も、ホームページだけでは「確認資料として不十分」と判断される可能性があるため、注意が必要です。
補足資料として提出する分には問題ないでしょう。
(小見出し3:)身分証明書を準備する
個人用の口座を作るときと同様、身分証明書や印鑑(シャチハタ以外)も必要です。
基本的に身分証明書は、
1つでOKな書類:運転免許証/マイナンバーカード/パスポート/在留カードなど
2つでOKな書類:各種健康保険証/年金手帳/母子健康手帳など
に分かれます。
書類の取り扱いは、銀行によって異なる可能性があるため、利用する銀行の情報をご確認ください。
店名・芸名・ペンネームで口座開設におすすめの銀行
前提として、メガバンクを中心とした多くの銀行では、屋号・雅号のみの口座開設は受け付けておらず、「屋号+本名」が大半です。
屋号や雅号のみの口座開設が可能なのは、「ゆうちょ銀行」のみとなります(2021年6月時点)。
ゆうちょ銀行
屋号のみで口座開設できますが、「普通口座」ではなく「振替口座」での開設です。
送金や決済に特化した口座なので、
- 通帳やキャッシュカードは交付されない
- 口座預金への利子はつかない
キャッシュカードがないので、預金を引き出すには、指定のゆうちょ銀行もしくは、郵便局の貯金窓口へ出向かなくてはなりません。
ただし、ゆうちょ銀行の個人口座を持っている場合は、ネットバンキング経由で個人口座に振り込むことは可能です。
取引記録は、郵送で送られてくる「振替受払通知票(有料)」と、Web上で確認可能な「振替受払通知票Web照会サービス(無料)」の2通りの方法があります。
本名を伏せて活動したい人にはおすすめですが、デメリットもあるため、慎重に検討しましょう。
そもそも、取引先がゆうちょ銀行に対応していなければ意味がありません。
開設手続きを行う前に、取引先がゆうちょ銀行に対応しているかどうかを確認しておくことが重要です。
楽天銀行(ネットバンク)
楽天銀行の個人口座を開設している方を対象に、屋号つきの「個人ビジネス口座」を開設することができます。
個人ビジネス口座開設の大まかな流れは、以下の通りです。
- 楽天銀行の個人口座を開設する
- 開設した個人口座にログインし、個人ビジネス口座の開設手続きを行う
- 楽天銀行から送られてくる返信用封筒に、事業内容を確認する資料を同封して返送する
- 審査が通れば個人ビジネス口座が開設
PayPay銀行(ネットバンク)
PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)では、個人口座がなくてもビジネス用口座を開設することができます。
用意するのは、本人確認書類と開業届だけでOKなので口座開設の手間が少ないです。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行で屋号つきの口座を開設するには、自宅または事務所近くの支店に出向いて、窓口で手続きする必要があります。
口座開設に必要な書類は、
- 本人確認書類
- 事業実態を証明する書類
- 印鑑
1つでも書類が足りないと開設できないため、事前にしっかり準備してから出向きましょう。
みずほ銀行
みずほ銀行で屋号つきの口座を開設する場合、自宅または事務所近くの支店に出向いて、窓口で手続きを行います。
初回来店時に必要な書類は、
- 本人確認書類
- 印鑑
開設理由や口座の利用目的などについてヒアリングされた後に審査が入り、後日連絡されるため、当日中の口座開設はできません。
すでに個人口座を持っている場合は、屋号つきの口座を開設できないので、注意が必要です。
本名を記載したくない場合に選びたい銀行
先述したように、ほとんどの銀行では「屋号+本名」での口座開設となります。本名を伏せて活動したい場合は、屋号のみで開設可能な「ゆうちょ銀行」がおすすめです。
ただし、取引先がゆうちょ銀行を扱っていない可能性もあるため、取引先の取り扱い金融機関を確認してから開設しましょう。
手続きの簡易さ・開設しやすさで選びたいネットバンク
メガバンクでの屋号つきの口座開設は「必要書類が多い」「窓口での手続きが必要」といった傾向があるため、ネットバンクよりも開設のハードルが高めです。ネットバンクであれば、ネット上から申し込み手続きができるため、自宅にいながら口座開設ができます。
そのため、窓口に出向きたくない場合は、
- 楽天銀行
- ジャパンネット銀行
また、ネットバンクは振込手数料などの利用手数料が安いのも大きな魅力です。
信頼性の高さで選びたいメガバンク
メガバンクで屋号つき口座を開設するには、直接窓口に出向く必要がある上、用意する書類も多めです。つまり、それだけ「審査が厳しい」と捉えられるため、開設時には不便さを感じることもあるでしょう。
しかし、「審査の厳しさ=信頼性の高さ」につながるので、顧客や取引先に安心感を与えることができます。
よって、信頼性の高さを重視する場合は、
- 三菱東京UFJ
- みずほ銀行
予定している事業展開に合わせて銀行を選ぼう
「振込先の口座名」と「店名や芸名」を統一させておけば、顧客や取引先に安心感を与えることができますし、先方が振込先を誤ってしまうリスクも防げるでしょう。
また、事業用の口座を持っておけば、会計上の処理もしやすくなるため、フリーランスや個人事業主は、屋号つきの口座を開設しておくと便利です。
銀行の特徴を把握して、開設する銀行を選びましょう。
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