フリーランスが青色申告を申請するにはどうしたらいい?青色申告承認申請書や開業届の書き方について
2021.09.20

税制上の優遇措置を受けられる「青色申告」。
大きな節税効果があるため、青色申告の対象となるフリーランスは、申請しておくことをおすすめします。
青色申告の申請には「開業届」と「青色申告承認申請書」の2種類が必要ですが、「書き方が分からない」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「開業届」と「青色申告承認申請書」の書き方や必要書類、期限、提出方法についてご紹介いたします。
フリーランス必見!開業届の書き方と必要書類

青色申告を行うには、まず「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しなくてはなりません。
ここでは、開業届の書き方と必要書類についてご紹介いたします。
開業届の書き方
まずは開業届の書き方を見ていきましょう。①税務署名/提出日
納税地を管轄している税務署名と開業届の提出日を記入します。
開業届は開業日から1ヶ月以内に提出しなくてはならないため、できる限り早めに提出してください。
②納税地/上記以外の住所・事業所等/氏名・生年月日/個人番号/職業/屋号
【納税地】
納税地は、生活の拠点のため自宅である「住所地」を選択するのが基本です。
自宅とは別に、事務所やお店を持っている場合は「事業所等」を選択しても問題ありません。
「居所地」は、海外などに住んでいる人が国内で活動するための拠点のことです。
それぞれ該当する項目にチェックを入れたら、住所を記入します。電話番号は、固定・携帯どちらでもOKです。
【上記以外の住所・事業所等】
事務所や店舗を持っている場合のみです。
例えば、
- 納税地を自宅にしたい 「納税地」に自宅住所、「上記以外の住所・事業所等」に事務所や店舗の住所
- 納税地を事務所や店舗にしたい 「納税地」に事務所や店舗の住所、「上記以外の住所・事業所等」に自宅住所
のように記入します。
【氏名・生年月日/個人番号】
あなたの氏名と生年月日、個人番号(マイナンバー)を記入します。
【職業】
厳格な決まりはないので、職業が分かる名称であれば何でもOKです。職業が複数の場合は、最も収入を得ている職業を記入します。
ただし、業種によっては個人事業税の税率が変わるため、注意が必要です。各都道府県の税金に関するページを確認しておきましょう。
【屋号】
屋号は、法人でいう「会社名」です。
なくても問題ありませんが、一般的には事務所名やオフィス名、店舗名を記載します。
屋号が書かれていると、「屋号つきの銀行口座」を開設することができるため、記入しておいた方が便利です。
ただし、「株式会社」「法人」「Inc.」「Co., Ltd.」「Corp.」といった表記は、法人を意味するため使用してはいけません。
ペンネームや芸名のような本名以外の名前(雅号)を書くことも可能です。
なお、屋号の変更回数に制限はないので、必要に応じて変更していただけます。
③届出の区分
「開業」をチェックします。
事業を引き継いだ場合は、住所・氏名を記入しましょう。
④所得の種類
該当する項目を選択します。
ここは、ほとんどの方が「事業所得」になるでしょう。
⑤開業・廃業等日
開業日を記入してください。
先述の通り、開業届は開業日から1ヶ月以内に提出するよう義務づけられています。
開業届の未提出でペナルティを受けることはありませんが、早めに提出した方が良いでしょう。
⑥開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
青色申告承認申請書を出す場合、「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」欄の「有」にチェックをつけます。
課税事業者とは、消費税を納める義務のある個人事業主のことです。
原則として、過去2年間の課税売上が1,000万円を超えた場合が対象となるため、開業する人は「課税事業者選択届出書」を提出する必要はありません。
よって、消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」の欄は「無」でOKです。
⑦事業の概要
「ハワイアンカフェの経営」「オリジナルアクセサリーの通信販売」など、具体的な事業内容を書いてください。
⑧給与等の支払の状況
該当者のみです。
家族に給与を支払って手伝ってもらっている場合は「専従者」欄に、人を雇い入れる場合は「使用人」欄に記入します。
給与の定め方とは、「日給」「月給」「月給+ボーナス」など、給与の支払い方法です。
税額の有無に関しては、源泉徴収する場合は「有」しない場合は「無」にチェックしてください。
基本的に給与を支払う場合、源泉徴収を行うため「有」を選択します。
⑨源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無/給与支払を開始する年月日
【源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無】
源泉所得税は、給与を支払った翌月10日までに納付しなくてはなりません。
ただし、従業員が10人未満の場合、税務署に申請すれば年2回にまとめて納付することができます。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する場合は、「有」をチェックしてください。
【給与支払を開始する年月日】
給与の支払い開始日が未定の場合は、空欄でOKです。
「源泉所得税の納期の特例」を受けたい場合は、支払い開始日の前月までに「開業届」と「申請書」を提出しましょう。
開業届の提出に必要なもの
開業届に提出な書類は人によって異なります。一般的には、
- 個人事業の開業届出・廃業届出書
- 印鑑
- 個人番号(マイナンバーカードなど)
- 本人確認書類(運転免許証など)
青色申告を受ける方は「青色申告承認申請書」も忘れずに提出しましょう。
なお、専従者給与が発生する場合、「青色専従者給与に関する届出書」が必要です。
フリーランス必見!青色申告承認申請書の書き方と必要書類

青色申告できるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の3種類です。
これに該当する方は、青色申告承認申請書を提出して、税制上の優遇措置を受けましょう。
青色申告承認申請書の書き方
ここでは、青色申告承認申請書の書き方についてご紹介いたします。①税務署名/提出日
①は開業届の提出と同様、納税地を管轄している税務署名と青色申告承認申請書の提出日を記入します。
②納税地/上記以外の住所・事業所等/氏名・生年月日/職業/屋号
②も開業届と同じ内容を記入してください。
③青色申告の申請年度
青色申告の適用をスタートする年度を記入してください。
一度青色申告者と認められれば、翌年以降の申請は不要です。
④資産の名称とその所在地
所得によって記入方法が異なります。
【事業所得】
事務所や店舗のある人…「名称」に屋号、「所在地」にその住所
自宅で仕事をする人…「名称」に屋号orなし、「所在地」にあなたの住所
【山林所得】
「名称」に山林、「所在地」にその所在地番
【不動産所得】
「名称」にビル名やマンション名、「所在地」にその住所
⑤所得の種類
該当する項目を選択します。
⑥青色申告承認の取り消しを受けた経験
青色申告承認の取り消しを受けたり、自らやめたりしたことがなければ「無」を選択します。
経験があれば「有」とその種類を選び、年月日を記入してください。
⑦事業の開始年月日
1月16日以降に開業した方のみ、開業届に記載した開業日を記入します。
⑧相続による事業継承の有無
相続によって事業を継承した場合は、相続開始日と被相続人(譲渡する人)の氏名を記入してください。
⑨その他の参考事項
【簿記方式】
青色申告は、簿記の方式によって控除される金額が異なります。
「複式簿記(65万円or55万円控除)」「簡易簿記(10万円控除)」どちらかを選択してください。
※65万円の控除を受ける場合、「e-tax」での確定申告が必須です。国税庁ホームページでは、e-taxの「ご利用の流れ」を公開しています。
【備付帳簿名】
使用する可能性のある帳簿を選択します。
複式簿記の場合、主要簿と呼ばれる「総勘定元帳」「仕訳帳」の2種類は欠かせないため、必ず選択しましょう。
残りは事業内容によって変わってくるため、必要に応じて選択してください。
簡易簿記の場合、「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」が一般的です。
青色申告承認申請書の提出に必要なもの
「青色申告承認申請書」以外で必要なものはありません。ただし、開業届を提出していることが前提となるため、開業届と合わせて申請すると、一度の手続きで済みます。
フリーランスになったら早めに申請!青色申告の書類の提出期限
開業届や青色申告承認申請書には提出期限があります。
期限から遅れてしまうと、その年の確定申告で青色申告を受けられなくなるため、必ず期限内に提出しましょう。
開業届の提出期限
開業届の提出期限は、「開業日から1ヶ月以内」です。提出しなくても罰則を受けることはありませんが、そもそも開業届を提出していないと青色申告できません。
開業から1ヶ月以上経過している場合は、税務署に相談の上できる限り早く開業届を提出しましょう。
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告承認申請書の提出期限は、以下の通りです。
区分
|
提出期限
|
|
---|---|---|
新規開業
|
1月15日以前の開業 |
青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで
|
新規開業
|
1月16日以降の開業 |
業務を開始した日の2ヶ月以内
|
白色申告⇒青色申告
|
青色申告の承認を受けようとする年の3月15日まで
|
1日でも提出が遅れると、その年の青色申告は受けられません。翌年からの適用となるため、注意が必要です。
開業届と一緒に提出すると手間が省けますよ。
開業届・青色申告承認申請書の提出方法
開業届・青色申告承認申請書ともに納税地を管轄する税務署に提出します。提出方法は、
- 窓口提出
- 郵送
- e-Tax
窓口提出
所轄の税務署へ直接出向いて提出します。
窓口持参であれば、記入漏れがあってもその場ですぐに対応することができるため、時間に余裕のある方におすすめです。
郵送
控えも含めた「開業届」「青色申告承認申請書」などの必要書類と、切手を貼った「返信用封筒」を同封の上、所轄の税務署に郵送してください
返信用封筒には、必ず自分の住所を書いておきましょう。
e-Tax
インターネット上から提出することも可能です。
ただし、e-Taxを利用するには、マイナンバーカードやカードリーダー、セットアップといった事前準備を行う必要があります。
e-Taxの利用手順は、国税庁ホームページの「ご利用の流れ」をご覧ください。
青色申告申請時にフリーランスが注意すべき点
青色申告を申請するにあたって、注意すべき点をご紹介いたします。
失業手当を受け取れなくなる
失業手当は、再就職する意思と能力のある人に対して、一定期間手当を支給するものです。そのため、開業届を提出すると失業状態ではなくなるため、失業手当を受け取れなくなります。
白色申告よりも確定申告が大変になる
65万円・55万円の控除を受ける場合、複式簿記での記帳が欠かせません。複式簿記での記帳は、専門的な知識が必要な上に提出書類も多いため、簡易簿記の白色申告よりも難易度が高いです。
また、65万円の控除を受けるには、e-Taxによる電子申告が必須なので、セットアップなどの事前準備も行わなくてはなりません。
提出書類は控えを取っておく
「開業届」と「青色申告承認申請書」の用紙は原本と控えの2部構成です。
控えを作成しないと書類が手元に残らないため、必ず「開業届」と「青色申告承認申請書」の控えを作成しましょう。
原本と一緒に控えを提出すると、収受日付印の押された控えが返却されます。書類の控えがあれば、口座開設や融資がスムーズに進みますよ。
青色申告の申請は期限内に!フリーランスになったら早めに申請の準備を始めよう
青色申告を受けるには、「開業届」や「青色申告承認申請書」の提出が必須です。
1日でも提出期限を過ぎると、青色申告の適用が翌年になってしまうため、必ず期限内に手続きを済ませましょう。
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