林知佳さん(占い師 ライターほか)直撃インタビュー
2021.03.21

社会人になって10年間のうちに9回の転職を繰り返し、フリーランスとなった林知佳さん。
失恋をきっかけに占い依存状態の「占いジプシー」となり、占いに30万円以上つぎ込むというどん底を経験したのだとか。その後一念発起して自分自身が占い師となり、フリーランスに。
現在は占いはもちろん、占いのオンラインサロンを開催したり、人材業、ライター、カメラマンとマルチに活躍されています。そのマルチなキャリアは、『マツコ会議』やNTTドコモのMY MAGAGINEでも取り上げられました。そんな林さんが見つけた「自分らしい生き方」とは。林さんから直接お話をうかがってみました!
転職9回、失恋による占い依存でさらなるどん底に
まずは、フリーランスになるまでの仕事について教えていただけますか。
社会人になって10年間のうちに9回転職したんです。
その頃は、「とりあえず大手に行きたい」とか、「大手の子会社」だったりとか、ずっとそんな基準で会社選んでしまっていました。キャリアの軸もなくて、事務をやって、営業をやって、事務をやって、営業をやってと。正直そこはどうでもよかった。やりたいことというのが特になかったんです。
仕事が好きと思える瞬間もなく、ここの会社合わないなと感じたら、そこに身を投じている意味があまりわからなくてやめてしまうってことが多かったです。転職活動そのものも大変ではあるんですけれど、「現状が嫌」という気持ちが常に勝っていました。
そうやってずっと転職を繰り返して、苦しかった。
失恋で占い依存に陥ったとのことですが、一体何があったんでしょうか。
お付き合いしていた方と、ラブラブだったはずが、ある日突然プツンって切れてしまったんです。
その日は私の誕生日で、「お祝いしよう」って誘われていました。
それで、待ち合わせ場所で待っていました。そうしたら待ち合わせ時間の20分くらい前に「おなか痛いから待ってて」って言われて、そこから急にぷつんと連絡が途絶え、会えなくなってしまったんです。
その頃は実家に住んでいたのですが、涙が出て止まらなくて、実家に帰りたくなくて。その日は友だちの家に泊めてもらいました。
自分が悪いことでもしたのか、彼に何かあったのか。理由があまりにもわからず、連絡も取れなくて、頼ったのが占いでした。
「彼は何をしているんでしょうか」「彼は私をどう思っていますか」などを電話占いで聞いてみたんです。パニック状態だったので、占い師さんに「大丈夫ですよ」「復縁できますよ」などと言われるとものすごく安心しました。
ところが、その場で安心できたとしても、時間が経つとまた不安になってくる。次の日になると「またあの安心感がほしい」と思って別の占い師さんのところに行きました。そこからやみつきになって占いを繰り返す。「占いジプシー」と呼ばれる状態に陥ったんです。
毎日朝昼晩と占いをするようになり、それがないと落ち着かなくなってしまったんです。占い師さんの「大丈夫だよ」って言葉がないと自分を保てない状態でした。
例えばアルコール依存症では、飲んで楽しいときの快感がデフォルトになって、依存に陥っていくんだと思うんですよね。それと同じなんです。占い師さんに「大丈夫だよ」って言ってもらったときが幸福のデフォルトになってしまっていました。
大変な状況でしたね。どうやって立ち直りましたか。
気が付くと、占いにつぎ込んだ金額が30万円を超えていたんです。というより、怖すぎて正確にはいくら使ったか把握すらしていません。それでも復縁できなかった。あるときハッと我に返ったんです。
今までつぎ込んできた時間とお金がもったいなく感じると同時に、「これだけ占いにお金をつぎ込んだんだから自分にも占えるんじゃないか」という気持ちが湧いてきました。
それで占いの勉強を始め、ネットでお客さんを募集したんです。
初めてお客さんが来たときのことは覚えているんですが、本当に自然体でできたんです。
カードが出て、でもその意味をそのまま伝えてはダメ。自分の言葉にして相手に伝えるっていうのがすっとできました。
それなら、もっとやってみようと思って。口コミがよければ人は来てくれる。無料枠を増やし、いい口コミをもらえるようにがんばりはじめました。
忙しくしているうちに、だんだんとお客さんが増え、気が付いたら自分も立ち直れていました。
軸足を何本も持つことが自分に合っている
そこから占い師として独立されたということですか?
そう簡単にはいかなくて、占いを副業としながらそこからもキャリアの模索は続きました。
占いを始めたのとほぼ同時に、その頃付き合っていた彼氏の影響で人材ビジネスにも興味を持ち始めたんです。「悩んでいます」って言われたらその解決の糸口を探るのが結構得意なんですよね。占いに限らず、普通の会話の中でも「これってこのやり方のほうがよくないですか」っていうアイデアが自然に出てくるんです。
独立か、就職かと悩んで占い師一本でやろうとしていたときもあります。その頃は一か月ほとんど家も出ずずっと占いで待機して、占っていました。すると一か月70万円くらいになったこともありました。
けれども、占い師だけで稼いでいくって私のやりたいことと反対向くんですよ。私は占いジプシーを減らしたい。自分のお客さんに私のような辛い思いをさせたくないんです。それなのに、占いで生活を立てるってなると逆をやらなければならなくなるんです。
占いに依存していたころ「~日以内に私のところにもう一度来ないと復縁できないよ」などと言う占い師さんもいらっしゃいました。そんなの心から信じているわけじゃない。でも占いに依存しているときって、自分に自信もなくなっているし、気持ちも落ちているから「また行こう」になってしまうんです。会社によってはそれが営業手法になっています。
自分が生きていくためにそれをやるのは嫌でした。
そんなときに、リモートで一日5時間だけ人材の会社のお手伝いができることになって。さらにライターの仕事もいただけるようになりました。人材系のものや、ほかのもので収入があることによって、自分が嫌だと感じる営業はしなくてよくなるんです。そうやってパラレルに働くことが自分には合っていると気づきました。
今の仕事は占いがメインなのですか。
「このままでは不幸になるから、うちに定期的においで」って言って占いに依存させるなんてお互いに不幸すぎる。いろいろ考えてこうなりました。性格上好きじゃない場所にはいれないんです。だからパラレルのほうが合っていますね。ひとつなくなってもそんなに打撃ではないので。
占い師のオンラインサロンというのもやっていらっしゃいますね?
復縁相談とか不倫相談で占い師のところに来る方って終わりとかゴールがないんですよね。ゴールは復縁だと本人は思っている。けれど復縁してもまた来るんですよ。彼とけんかしたとか。結局状況が変わっても本人が変わらないと意味がないんですよね。
占いの場合、本人が依存しているっていう自覚自体がないことが多くて、本人もやめたいって思ってない人のほうが多いんです。かなりの依存状態でも精神科に行くことはなく、自分では普通だと思っています。
アルコールや薬物依存と違い、危機感が持ちづらい。「たかが占い、自分は大丈夫」って思ってしまうんです。でも実際はめっちゃはまるので注意が必要です。
そういうのが嫌なので、占いを始めた初期のころから、もっと本当に相談者の力になれるようなポジティブな占い師を増やしたいという思いがありました。それで占い師のためのオンラインサロンを開いたんです。こちらは金額的にはほぼ利益は無視の価格です。
そうしたらツイッターなどを通して「私も占い師になりたい」という人が来てくれるようになりました。
実際サロンが始まると、いろいろな占い手法の方がいらっしゃいました。サロンでの相談内容も多岐にわたっています。
たとえば、占い手法によっては明確な答えが出ないものもあります。「答えが出ないけれども結果を相手にどう伝えたらいいのか」っていう相談を受ける。「それだったら、明確な答えが出ないアドバイスっていうだけの商品にすればいいのでは」とかそういったアドバイスをしています。「占いで答えが欲しい人もいれば欲しくない人もいるんです。だからポイント変えたらいいんじゃないですかね」とか。
メディアにもよく出演されていますね。
はい。私がメディアに出ることで、私と同じように過去の経験ですごくつらい経験をしたり、転職経験が多くて辛い思いをしている方に「こういう生き方もあるんだ」っていう選択肢のひとつにしてほしいなって思っています。今は辛いかもしれないけれど、なんとかなる、ということが伝わるといいなと思って出演のお話もお受けしています。
占いジプシーで苦しんだ経験もメディアで積極的に話すようにしてきましたが、最近になってやっと、同じ占いジプシーで苦しんでいる方が私のところに来てくれるようになりました。メディアでの私の話を読んで、「私も同じ状況なので最後に占ってもらっていいですか」と。やっと2年半くらいで成果が出てきたと実感しています。そういう人の最後の砦になりたいという気持ちがあります。
19,000人の恋愛相談をベースにした恋愛コラムを書きたい
占いは、どんな相談を得意としていますか。今力を入れているのは
占いはほとんどが恋愛相談です。
ポジティブな占いとありましたが、その人にとって悪い結果が出ることもありますよね。そういうときはどうするんでしょうか。
できるだけポジティブに解釈しますね。「こうならないためにどうすれば」とか、そういう返しができるように、自分なりの解釈を出しています。未来は変えられると思っていますから。ラインブロックされた人と一生会えないわけじゃない。そこまで悲観することないよっていうのを伝えています。
辛い気持ちの人を見て辛い気持ちになるときはありませんか。リセット方法は。
最近は全然なくなりました。嫌なことには頭の中でふたをするようになってきたのか、すぐに忘れてしまいます。始めは重い相談をされると「しんどい」ってなっていたんですけど。「自分にとってプラスじゃない時間だな」って思い始めてから、少しずつ気にしないように注意しました。
以前は悩んだりするとやせたり眠れなかったりしましたが、今は全然そんなふうにはならないですね。
精神的に病んでいる方も、ゆっくりゆっくり大丈夫になっていきますよね。私も占いを始めて6年くらいなんですけどその間に、もやもやした気持ちや、辛いって思う気持ちがなくなりましたね。
引きずらなくなったぶん、痩せられなくなりましたけど(笑)。引きずっていた頃はなにかあるとすぐご飯が食べられなくなって、結構痩せられていたんですけどね。
占いが自分を変えてくれたという感じですか?
19,000件の話を聞いてきて、悩むのは大切だけど、答えって自分が持ってるなって思ったんですよね。言ったことをやらない人って結構いて。相手もそんなに気にしてないし、あまりこっちも気にしなくていいんだろうなって、ゆるっとしています。「いろんな人がいるんだから」って思うと、細かいことがあまり気にならなくなりました。
過去の恋愛も引きずるほうだったんですが、今は恋愛もひきずらなくなってきて、何にも動じないという感じです。
今後はどんなことをしていきたいですか。
あまり目標っていうのは定めてないですね。
去年は、ケニアに移住した友達に会いにケニアに行ったんです。私「会いに行くね」って言って行かないのがすごく嫌なので行きました。
ケニアに行った結果、そこで出会った方とアパレルのデザインをやることになったんです。ケニアにそんなことをしに行ったわけではなかったので、何が起こるかわからないですよね。今後も出会った人たちと、ともに考えようって思っています。だから「こんなことやりたい」っていう声とか「これやったらいいじゃん」っていう周りの助言をフルに聞くようにしています。「ちかちゃんこれやってよ」って言われたら「やってみます~」という感じで。
でもひとつだけ挙げるとしたら、恋愛ライターをやりたい! という気持ちがあります。占いで19,000人を見てきました。その中にいろいろな恋愛のケーススタディがあるんです。それを文章にしたいなって思っています。いつか雑誌にちょこっと載りたいんですよね。
夢というよりは今までの経験を活かして生き方を面白くしたいという気持ちです。
いい仲間ですね。どこで会った人たちですか。
ツイッターが多いです。ツイッター上で知っていて、何かの拍子でつないでもらって仲良くなったり。猫を飼っているんですけど、猫を見に友達と一緒に来た人と仲良くなったりもします。無理に友達を作るよりは一人でいたほうがいいし。がりがり営業も全くしないです。取材もほんとに待っているだけです。
本当に自然体なんですね。では最後に読者にメッセージを!
フリーランスでやっている人ってあきらめちゃう人もいると思います。でもあきらめないでほしいなって。結果って多分すぐには出ないから、これだけは頑張ろうっていうのを自分で決めるといいと思います。
私の場合、まずは一か月毎日続けるっていうのがあるんです。一か月毎日続けると何かしらの成果が出たのが自分でわかります。
あきらめないためには自分が続けるしかないですよね。まずはそのモチベーションアップのために自分でできることをやる。私は毎日ノートに自分が今日やることを書くようにしています。自分がこんなことやったよっていうのを見える化しています。こういうふうにやっていくと、あきらめずにいられると思いますよ!
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