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簡易簿記の書き方をマスターして、青色申告10万円控除を受けよう!

2021.09.21

簡易簿記とは、簿記の知識がなくても記入できる記帳形式のこと。経理が難しいと感じる方や複式簿記の記帳をする時間がない方には、簡易簿記がおすすめです。
「青色申告をしたいのだけれど書き方がわからない!」 という方は、ぜひこの記事を参考に簡易簿記から試してみてください。意外と簡単にできることがきっと実感いただけるはずです。

簡易簿記とは? 複式簿記との違いと、簡易簿記の種類

簡易簿記とは、取引に関する収益(収入)と費用(支出)のみを記録する方法です。
1つの勘定科目で取引の目的のみを記録することから「単式簿記」とも呼ばれています。

例えば、

9/1:売上300,000円(収益)
9/15:家賃100,000円(費用)

のように、お金の流れをシンプルに記録します。

家計簿やお小遣い帳のように、「いつ、何に、いくら使ったか」を記載するため、簿記の知識がなくても簡単に帳簿づけできるでしょう。

簡易簿記による帳簿づけは、「白色申告」と「青色申告(特別控除10万円)」で必要となります。
ただし、白色申告をしても特別な控除は受けられません。白色申告をするメリットはほぼないので、フリーランスの方は青色申告をしましょう。

青色申告をするには、事前に「青色申告承認申請書」を提出している必要があります。

簡易簿記と複式簿記との違い

青色申告の記帳方法は、「簡易簿記」「複式簿記」の2種類があります。

複式簿記は、取引に関する収益(収入)と費用(支出)を記録するのはもちろん、事業場の資産や負債の状況も記録する方法です。
2つ以上の勘定科目を使って、取引の目的と手段を記録することから、帳簿づけは複雑になります。

簿記の知識を求められますが、お金の流れがはっきりと分かるため、簡易簿記よりも優遇の大きな55万円もしくは65万円の特別控除を受けることが可能です。

簡易簿記の種類

基本的な会計原則は「発生主義会計」ですが、青色申告の簡易簿記では「現金主義会計」も可能です。
現金主義会計は「現金式簡易簿記」とも呼ばれています。どちらの方式で申告しても優遇措置は変わりません。

両者の違いは、
  1. 発生主義会計…取引成立の段階と現金の増減があった段階で記録する
  2. 現金主義会計…現金の増減があった段階で記録する
です。

例えば、クレジットカードを使って買い物をした場合、発生主義は商品購入日と引き落とし日の2つを記録します。
対して、現金主義は実際にお金が動いた段階で計上するので、記録するのは引き落とし日のみです。

簡易簿記と現金式簡易簿記の帳簿の種類

記録のつけ方が異なれば、当然作成義務のある帳簿の種類にも違いが出てきます。

簡易簿記に必要な帳簿は、
  1. 現金出納帳
  2. 買掛帳
  3. 売掛帳
  4. 経費帳
  5. 固定資産台帳
の5種類です。

一方、現金式簡易簿記で作成義務があるのは「現金出納帳」のみとなっています。現金の単純な動きだけを帳簿づけすれば良いので、手間がかかりません。

申告の種類や帳簿の一覧表

確定申告の種類ごとに必要となる簿記や帳簿の種類を一覧表にまとめましたので、参考までにご覧ください。




白色申告
青色申告
特別控除額
なし
10万円
55万円or65万円
記帳方法
簡易簿記
簡易簿記
現金式簡易簿記
複式簿記
会計主義
発生主義
発生主義
現金主義
発生主義
必要帳簿
現金出納帳
買掛帳
売掛帳
経費帳
固定資産台帳
現金出納帳
買掛帳
売掛帳
経費帳
固定資産台帳

現金出納帳
仕訳帳
総勘定元帳
※必要に応じて 現金出納帳
買掛帳
売掛帳
経費帳
固定資産台帳など
確定申告書類
確定申告書B
確定申告書B
青色申告決算書
(貸借対照表は不要)
確定申告書B
青色申告決算書
(現金主義用要)
確定申告書B
青色申告決算書

※65万円の控除を受けるには、e-taxによる電子申告が必要です。
詳しくは、「青色申告とは?白色申告との違いや申請方法について~フリーランスの基礎知識~」をご覧ください。

「簡易簿記」「現金式簡易簿記」に必要な現金出納帳の書き方

現金出納帳とは、事業用の現金の動き(入出金)を取引した順に記入する帳簿です。
「いつ・どういった目的でお金が動いたのか」をもれなく記録し、手元の現金と確認することでお金の動きを管理できます。
【書き方の例】

日付
勘定科目
摘要
入金
出金
現金残高
2021/1/1

前年より繰越


100,000
2021/1/10
売上高
現金売上
50,000

150,000
2021/1/11
通信費
郵送料

300
149,700
前年末に残っていた現金があれば、年始の日付で摘要欄に「前年より繰越」と記入し、現金残高にその金額を記載してください。
開業した場合は、開業日の日付で摘要欄に「元入金」と記入し、事業用資金額を記載します。

簡易簿記に主要な「売掛帳」の書き方

売掛帳とは、ツケで売った商品・サービスの代金回収状況を、得意先ごとに記録・管理する帳簿です。
【書き方の例】
住所 東京都○○○ ○○株式会社 殿 電話 03-〇〇〇

日付
品名
数量
単価
売上金額
受入金額
差引残高
2021/1/1
前年より繰越




50,000
2021/1/5
現金入金



20,000
30,000
2021/1/10
手帳
10
1,000
10,000

40,000
2021/1/20
現金入金



40,000
0
前年末の売掛金がある場合は、品名に「前年より繰越」と書き、その残高を差引残高に記入します。日付は、請求日ではなく商品・サービスが売れた日を書きましょう。

簡易簿記に主要な「買掛帳」の書き方

買掛帳とは、ツケで買った商品・サービスの代金を、仕入先ごとに記録・管理する帳簿です。

【書き方の例】
住所 東京都○○○ 株式会社★★ 殿 電話 03-〇〇〇

日付
品名
数量
単価
仕入金額
支払金額
差引残高
2021/1/1
前年より繰越




50,000
2021/1/5
現金支払



20,000
30,000
2021/1/10
手帳
10
1,000
10,000

40,000
2021/1/20
現金支払



40,000
0
売掛金と同様に、前年末の売掛金残高があれば金額を記入します。
ちなみに、買掛金は商品などの仕入れに関する科目です。固定資産の購入代金の未払いや備品購入代金の未払い分は買掛金ではなく、未払い金(勘定科目)に該当します。

また、売掛金や買掛金といった「掛取引」は原則5年で時効を迎えるため、回収忘れに注意しましょう。

簡易簿記に主要な「固定資産台帳」の書き方

固定資産台帳とは、事業で利用する車や机などの固定資産を購入した際にその情報を記入する帳簿です。
基本的に固定資産は、購入時にすべてを経費にできません。そのため、固定資産を取得したら名称や取得日、金額を記載しておく必要があります。
【書き方の例】
取得年月日は「購入日」、使用開始日は「共用日」です。
償却方法は税務署に届出をした方法が適用されますが、償却方法の届出をしていない場合は、原則定額法での償却となります。
耐用年数や償却率は資産ごとに定められているので、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」をご確認ください。
【書き方の例】

固定資産台帳

株式会社○○    NO.123456
資産名
ノートパソコン △△製
  管理番号12345 ブラック
耐用年数
4年
区分
器具・備品
償却率
0.25
取得年月日
2021/9/1
共用日
2021/9/2
数量
1台
所在
東京都…
償却方法
定額法
備考

日付 摘要 取得価額 減価償却費 帳簿価額
2021/9/1 新規取得 150,000 37,500 112,500
取得年月日は「購入日」、使用開始日は「共用日」です。
償却方法は税務署に届出をした方法が適用されますが、償却方法の届出をしていない場合は、原則定額法での償却となります。
耐用年数や償却率は資産ごとに定められているので、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」をご確認ください。

簡易簿記に主要な「経費帳」の書き方

経費帳とは、仕入以外の必要経費を科目ごとに記録した帳簿です。接待の飲食費や水道光熱費などが該当します。
【書き方の例】

消耗品費


日付
摘要
金額
現金
その他
2021/9/1
プリンターインク
電気ショップ○○
11,000

2021/9/15
コピー用紙
電気ショップ○○
5,000

通信費



日付
摘要
金額
現金
その他
2021/9/10
電話料金 8月分

口座振替

30,000
旅費交通費



日付
摘要
金額
現金
その他
2021/9/11
タクシー代

㈱○○ △△行き
2,500
経費帳は科目ごとに作成し、摘要欄には「何を、どこで買ったか」について詳細に記載しましょう。
また、接待交際費や旅費交通費は「誰と、どこで、どういう目的で」発生したのかを記載しておくと、事業用の支出であることが一目で分かります。

帳簿や書類の保管期間

確定申告では「青色申告」「白色申告」問わず、すべての事業者に帳簿作成と帳簿や書類の保管が義務づけられています。
税務調査で保存義務違反が明らかになった場合、青色申告の承認が取り消されたり、追徴課税を科されたりする可能性もあるため、誤って捨てないよう注意しましょう。

【白色申告者の保存期間】




保存が必要なもの
保存期間
帳簿
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)
7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)
5年
書類
決算に関して作成した棚卸表や、その他の書類
5年
業務に関して作成または受領した上記以外の書類 請求書
納品書
送り状
領収書 など
5年

【青色申告者の保存期間】



保存が必要なもの

保存期間
帳簿
現金出納帳
買掛帳
固定資産台帳
総勘定元帳
仕訳帳 など 売掛帳
経費帳

7年
書類
現金預金取引等関係書類
領収証
小切手控
預金通帳
借用証 など
7年
決算関係書類
損益計算書
貸借対照表
棚卸表 など
7年
その他
業務に関して作成または受領した書類
請求書
見積書
契約書
納品書
送り状 など
5年
帳簿や書類の保存は、原則として紙です。
会計ソフトやエクセルなどで作成していても、プリントアウトして紙で保存しなくてはならないので、保管場所を確保しておきましょう。



簡易簿記の書き方をマスターして青色申告10万円控除をゲット!

白色申告の帳簿づけが義務化されて以降、白色申告を行うメリットはほぼなくなりました。
簡易簿記で青色申告をするだけで、特別控除10万円や3年間の赤字繰越など、税制上のさまざまなメリットを得られます。

開業したら必ず青色申告承認申請書を提出し、青色申告しましょう。